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新型コロナウィルス感染症に対してのワクチン開発

Developing a SARS-CoV-2 Vaccine at Warp Speed
Kevin P. O’Callaghan, MB, BCh, BAO1 Allison M. Blatz, MD1; Paul A. Offit, MD1,2
JAMA. 2020;324(5):437-438.

#1 ナノ粒子の脂質輸送隊に包埋化したmRNA(SARS-CoV-2 spike (S)タンパク質の受容体結合ドメインをコーディング) 体内で抗原(タンパク質)を産生する。ついで、このタンパク質に対しての交代産生を誘導する仕組み。mRNAは本来、DNAを鋳型として細胞内に産生される。次いで、mRNAを鋳型に1組3個のヌクレオチドを認識しアミノ酸が一個づつ結合しタンパク質鎖が産生される。
mRNAワクチンは新しい方法論である。医薬品として商業ベースで感染症を防ぐ事にまだ利用されていない。mRNAはDNAの翻訳と細胞質内でのタンパク質の産生を繋いでいる。病原体の抗原を暗号化したmRNAが人間の細胞へ輸送され、細胞内にて抗原を産生するために用いられることを前提としている。当該の病原体を生のままや、殺菌したりまたはサブユニットを導入することなしに免疫反応を導くユニークな方法である。しかし、mRNAは細胞外のリボヌクレアーゼに弱く速やかに分解される。mRNAを用いるには複雑な脂質輸送システムへ包含させることが課題となる。

#2 組み換え水疱性口内炎ウィルス(rVSV)をベクターにするー弱毒化された生ワクチンに類似。複製能力は保つ。死菌、サブユニットワクチンよりも強く免疫原性を保っている。但し、数回の注射やアジュバントを必要とする。ウィルスをベクターにするワクチンは弱毒化ワクチンよりも、ベクターウィルスの複製能力を利用し、標的とする病原体から抗原産生に関わる遺伝子を人の細胞へ運ぶ。この方法はエボラ出血熱のワクチン開発例である。

#3 複製能力を欠く組み換えアデノウィルスベクター。複製能力をもつrVSV-ベクターワクチンと比べ、複製能力のない猿のアデノウィルスベクターやヒトアデノウィルスタイプ26を使用している。両ベクター共に組み換えSARS-Co-V-2のスパイクタンパク質をヒト細胞へ運ぶ。mRNAワクチンと同様まだ商品化された例はない。臨床例への応用は動物の狂犬病のみである。

以上のワクチンについて (1)免疫能力がどの程度維持されるか? (2) 集団感染をどの程度抑えるか限定的である。

補足:従来のワクチンの種別。
生ワクチン 病原体の毒性を弱める
不活化ワクチン 病原体の感染能力を消失させる
トキソイド 細菌の毒素を取り出す
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